Brad TroemelのPeer Pressureを読み終える

Kindleで少しずつ読んできた,Brad TroemelPeer Pressureを読み終える.Tumblrをあらたな「生産システム」として,アートのあり方も変えるというところがアツイ.そこで起きていることを「図」もわかりやすかったと思う.そして,とにかく「書き手」がいないことが問題という指摘.書き手がいなくても,Tumblrなどのプラットフォーム上で作品画像は回っていくのだが,そこで文脈をつくるためには書き手が必要となる.Troemelはコンセプチャルアートと今の状況を比較する.それは今の状況とコンセプチャルアートは文脈がなかっためにアートワールドに受け容れられるためにテキストを作家自身が書いたという状況が似ているから.確かに,Troemel自身が作家であり,書き手でもある.


日本だとどうだろうかというと,「作り手」は多いけれども,「書き手」はほとんどいないという状況だろう.それは英語圏では,書き手が出てきた「後」が何となくあるような気がするけど,日本にはそれがない.要は,書く媒体があるかなにかということ.でも,それは隣の芝生は青く見い現象みたいで,Troemelはネットアートに関する2つの媒体RhizomeArt F Cityがあるだけで,それもまた批評的に機能しているかというと,そうでもないとしている.その点,やっと出てきたのがGene McHughのブログ「Post Internet」と書いている.そうだったのかという指摘.

この前の座談会でも少しでていたけれど,インターネット・リアリティ研究会で日本のネットアートの歴史から現在の状況までを考えてみてもいいのかもしれない.英語圏からのテキストからも,日本のことはゴッソリと抜け落ちているから,ここをしっかりと書くことができれば,きっと世界的にも興味深いものになるはず.私個人もGene McHughのように頑張る必要がある.

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