お仕事:『UI GRAPHICS』への寄稿


UI GRAPHICS -世界の成功事例から学ぶ、スマホ以降のインターフェイスデザインに「メタファー,ボタン,テクスチャ,色面,ピクセル」と「GUIの歴史:私たちがデザインしてきたインターフェイスは常に身体の中にあった…」を寄稿しました.前者は「フラットデザイン」を論じたもので,後者はタイトルにもあるとおり「GUIの歴史」を振り返るものになっています.2つともユーザ・インターフェイスとの関わりなかで,ヒトの身体が現実世界の限界を超えていくものになっていくのではないだろうか,ということを書いています.

深津貴之さんの「マテリアデザインとその可能性」では,マテリアライジングを「『厚さのあるピクセル』が現実にあった場合にどのように挙動するかをシミュレートしたデザイン」と書いてあったり,『融けるデザイン』の渡邊恵太さんによる「インターフェイスと身体」には「知覚と行為の循環が,半分ディスプレイの中に入り込んでいる」という指摘があったりして,とても興味深いです.

博士論文では「ディスプレイ行為」という概念をつくって,ヒトとコンピュータとがディスプレイの画像とマウスであたらしい行為をつくっていくということを考えました(→GUI の確立にみる「ディスプレイ行為」の形成過程).このときは,ヒトの身体・認識があたらしい行為のために重要だと考えていましたが,今は,行為がピクセルの光から導かれることに興味があります.なぜなら,ピクセルの光のもとで現実とは異なる世界を厚みをもったピクセルから立ち上げて,そこに認識が半分入り込んでいるとすると,私たちは世界に対してこれまでとは異なる感触をもつと考えられるからです.

インタビュー「動きから「質感」を生み出すUIデザイン」で中村勇吾さんがスマートフォンのスクリーンを「アップデート可能な表皮」と言っています.私たち自身も「アップデート可能な表皮」とともにアップデートしていけるのかということを,この本に集まれられた事例やテキストから考えていけそうです.

『UI GRAPHICS』,是非,読んでみてください!

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